﹙……寒い。﹚
ある日の夕方、身体の震えとともに目が覚めた。
布団は完全にあらぬ所に行っていた。
最近寒くなったし、職場でも風邪を引いた人が増えてきたので、ちゃんとあったかくして寝ようとしたのにこれである。
﹙鼻もズルズルしてきたし……腹も減ったし、なんか温かいもの……﹚
起き抜けのぼんやりした頭でそんなことを考えているうちに着替えも済み、私は寒空のしたへと足を踏み出したのだった。
﹙……寒っ! さて何にするか……﹚
さっきまで寝ぼけていた頭も下に着いたときにははっきりしていた。
外の寒さのせいか、飯のことを考えているせいか。どちらかは分からないが自転車に跨がるときにはすっかり頭の回転も戻って来ていた。
﹙よし、今日はうどんだ!﹚
私は力強く自転車を漕ぎ出した。
うどん工房「名麺堂」
いわゆるセルフ讃岐うどんのお店。自分が徳島に来たくらいにできたのもあって、よく通っている。
なぜか週末になると県外のお客さんでいっぱいになる。
今日は平日の夕方なのもあって店内はお客さんはいなかった。
「あつあつ大で。」
昔ならこんな時はいつも釜玉にしていたのだが、最近はもっぱらかけうどんが多い。
﹙で、今日の鶏天は……?﹚
そしてうどんか出てくるまでの間すでに私の心はトッピングの鶏天の事でいっぱいだった。
﹙で、でかい!やったぜ。﹚
この店の鶏天はサイズにばらつきがある。それも1割2割の差ではなく、下手すると倍近く違う。そして値段は一緒。この鶏天のサイズ次第で食事満足度は大きく変わってくるのである。
﹙近年稀に見るサイズ…!これなら一つでいいな。﹚
うどんと鶏天の会計を済ませ席につく。
﹙いただきます。﹚
箸を割り、早速鶏天にかぶりつく。寒いからうどんにしたのに、まずは鶏天から。それだけテンションが上がっていたのかもしれない。
ある程度鶏天とうどんを堪能した所で一息つく。
﹙あ、今日清水さんの日だ。﹚
店内にはいつもラジオが流れているのだが、自分がくると大体清水さんの番組が流れている気がする。
聞き慣れたラジオの声とうどんを啜る音。その心地よいハーモニーに浸っているといつの間にか食べ終わっていた。
「ごちそう様でしたー」
どんぶりを戻して店を出る。生姜を効かせたのもあって身体はぽかぽかだ。
﹙本番あるし、風邪には気を付けないとなーマスク買っとくか。﹚
そうして私はまた自転車を漕ぎ出したのだった。
私も軍曹やそばを啜っている人で出演する
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