あけましたね。

2019年。

今年もよろしくおねがいします。

丸山です。

 

昨年、12月。

劇団にとって、そして僕にとっても多く別れがありました。

徳島の演劇界を長年支えてくださっていた今治さんがご逝去されました。

劇団まんまるから東條が去りました。

 

ある言葉が頭を過り

調べてみたら、元は「勧酒」というタイトルの漢詩でした。

 

勧君金屈巵

満酌不須辞

花発多風雨

人生足別離

 

これを井伏鱒二という小説家が妙絶に和訳しています。

そして最後の一文が頭を過った言葉。

 

コノサカヅキヲ受ケテクレ

ドウゾナミナミツガシテオクレ

ハナニアラシノタトヘモアルゾ

「サヨナラ」ダケガ人生ダ

 

ちなみにこのサイトを読んで知りました。

それ以上は特に調べてないのだけど、また井伏氏については

改めて知りたいなと思いました。

これだけ太宰に尽くして、憎まれるって。

 

閑話休題。

 

別れはよく転機を連れてきます。

今回の前はいつだったかな。

強く思い出すのは5年前。

僕のことを気にかけてくださっていた方が亡くなりました。

突然のことでした。

葬儀で、僕は友とぼろぼろ泣いてしまいました。

それから間もなく

尊敬する先輩がその時僕がいた会社を退社されました。

退社される日、事務手続きを終えて、会社を出る

彼をこっそり社外の喫煙所で待っていました。

見送りの時、簡単な挨拶の後、とても笑顔で去っていきました。

瞬間、すっと何か肩の力が抜けてしまったのです。

転職を決めたのはその時でした。

事実として繋がりのない二つの出来事が僕にとっては繋がった真実でした。

ここから先は好きに生きようと思いました。

余談ですが先の友と先輩は今、同僚になっています。

縁、だね。

 

「さよならだけが人生だ」

 

あんまりじゃないですか。

でも、多分そうなんでしょう。

自分のやること増やしすぎてて

あと何回僕は祖父母に、父母に、兄弟に会うんだろう。

横に寝息があるからこそ寂しさを感じられるのに

随分ないがしろにしています。

言葉を使って物語を書いているくせに

交わる事実以外を信じられていない気がします。

物理距離ではない行間のあたたかさを受け取れたら。

もっと、物語じゃなくうつつを生きていける気がします。

それがもう、難しいなあもう。

 

それでも。

 

劇団は歩みを進めます。

2015年に産声を上げた劇団まんまるは今年5年目。

拙いながらもそれなりの集団になってきていると思っています。

その先に新しい目標が出来ました。

 

徳島に小さくてもいいから劇場をつくることです。

 

創作を続ける集団がいつでも創作物を発表できる場をつくること。

安心して稽古が出来る場をつくること。

今、徳島でこういう公演したいなって思いついた時に

一番ネックになるのが芝居小屋を確保することです。

我々がよく使う公共ホールだと、半年前からでないと

小屋をおさえることが出来なかったり、そもそも抽選になって

公演自体が出来るかどうかがわからない。

そんな状況です。

もし、自分たちの稽古場を更に劇場の形にすることができれば

その問題が解消されていきます。

場所をつくることが出来れば、そこから色んな可能性が生まれます。

愛媛のシアターねこ等で開催している表現の実験上演CTTや

高知の蛸蔵で開催されている演劇祭などを自分たちで開催することも見えてきます。

県外のアーティストを招いての滞在型制作プロジェクトだって出来るんじゃないかな。

場所が作れれば。

 

5年前に彼女はここからいなくなってしまったけど

僕が自由に生きていくための理由として

僕自身の物語の登場人物として

ずっと生きています。

今治さんと僕はそんなに深く親交があったわけじゃないし

そんなことはおこがましいんだけど

彼が言った「徳島演劇環境充実」って言葉を

僕は勝手に受け止めて僕自身の物語として

繋がっていく物語の一部として

生き続けてさせてもらえればと思います。

そして、いつかその場所で

昔の仲間や未来の仲間が舞台に立っていたり

客席にいたら。

それはまた別の物語。

 

物語は現実と、事実や真実を巻き込みながら螺旋状に描かれていきます。

願わくば、この場所に今、いるみんな。

誰のためでも無く、自分のために、環境の向上に努めてもらいたいと思います。

 

そうじゃないと、いつか風になったときに寂しいじゃんか。

 

 

また、僕の頭の中に新しいお話が生まれてきています。

どこでご覧頂けるか、それを期待しながら。

 

今年もどうぞ、よろしくお願い致します。

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