おでぶのグルメ~台湾料理 福味~

1月某日

 

稽古場に向かう道の上で、その日の流れをシミュレートしていた。

 

 

 

﹙昼過ぎに軽くお腹に物は入れた。野菜ジュースは…その後の移動もあるし、稽古場着いて飲めば丁度良いか……﹚

 

 

 

何を隠そうその日はまんまるの新年会。しかも場所があの福味となれば万全の態勢をもって臨まなければならない。

 

 

福味とは徳島論田にある台湾料理のお店。台湾料理と言うが基本的にはいわゆる中華のお店。メニューの中に所々台湾料理が混ざっている感じだ。まんまるの飲み会だとよく使われるお店でホームページにもそこで撮った写真が出てくるほど馴染みが深いお店だ。

 

 

 

﹙コースかもしれないけど、食べ放題の方だったら何が起こるかわからないからな……準備は万全にしておかないと﹚

 

 

 

脳内シミュレートが終わる頃稽古場に到着。ここから乗り合わせで福味に行く予定だ。

私は途中のコンビニで買った野菜ジュースのパックにストローを差し最後の準備に取り掛かった。

 

 

 

なぜ、こんな準備が必要かと思う人もいるかもしれない。しかし私のような人間には大事なのである。

 

“◯◯放題”……それは人を狂わせる魔性の言葉だ。しかもヒトの三大欲求の一つに関わる

 

”食べ放題”

 

ともなると多くの人が容易くおかしくなってしまう。

 

大人数で食べ放題の店に行くとき。色々食べてみたいけど全部食べられるか心配だ。そんな葛藤の末、こんな言葉を私に投げかける人がいる。

 

 

 

「ウドさんいるから大丈夫ですよね!」

 

 

 

老若男女問わず、この言葉を発する人の目はとってもキラキラしている。欲に負けた心から発せられた言葉のはずなのに、そのやたらとキラキラした目を見ると私は、

 

 

 

「………おう!任せとけ!」

 

 

 

と返すしかないのてある。

 

他にも普段は痩せろ痩せろ言ってくる人が食べ放題だと遠慮するな、もっといけるだろ?とか言ってくるパターンもあったりする。﹙滅びろ!﹚

 

 

こんな感じて人が狂ってしまいがちな“食べ放題”

狂ってしまった結果残し過ぎてしまって罰金や出禁になってしまうのは悲しい事である。

なのでそんな悲しみをせめて自分の周りから無くすためにこのように万全の態勢で臨んでいるのだ!

 

 

 

お店に到着。数名遅れるとの事なので先に注文する流れ。皆メニューを見ながらあれやこれやと悩み始めた。

 

 

 

﹙とりあえず野菜が欲しいからサラダを頼むとして……後は周りの流れをみて、食べたい物を差し込んでいくか……﹚

 

 

 

準備だけでなく店に入ってからも油断する事なく進めていく。何も欲に負けるのは周りだけではない。自分自身もだ。そもそも普段欲に負けているからこの体なのである。周りも自分もおもいっきり楽しむ為の準備なのだ。

 

 

注文も終わり料理が来るまで暇なので乾杯する事に。もう少しすれば料理や遅れた人も来て楽しい宴が始まるだろう。

 

 

 

﹙いよーし、いっちょやりますか!﹚

 

 

 

こうして劇団まんまる2019年の新年会が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

途中“ウド君このサラダどっちも俺食べれんやん”事件や“ウドさんこのキムチ辛いですやんか”事件が起きたがほかは何事もなく進んで行った。

 

 

 

﹙この調子なら問題なく終われそうだな……﹚

 

 

 

ラストオーダーの時間になり、皆が色々デザートを頼み始めた。端のほうでは新しいホームページ素材用の写真撮影の真っ最中だ。 

 

 

そんな時事件が起こる。

 

 

 

「八宝菜でーす。」

 

 

 

大分前に頼んでいたメニューが遅れて来てしまったのだ。

周りを見渡すとほとんどの人がデザートも食べて美味しい料理の余韻に浸っておしゃべりをしている。良く見るとデザートのごま団子や桃饅も残っているようだ。

 

 

 

﹙お腹の感じは……問題無い!いける!﹚

 

 

 

 

 

私は誰も手をつけなくなった八宝菜を自分の手元に引き寄せ食べ始めた。

 

 

 

﹙中華の炒め物はやっぱり美味しいなー﹚

 

﹙桃饅の中の餡ってこれ何が入っているんだろ?胡麻っぽいけどなんか違う気もするなぁ﹚

 

 

 

なんて考えているうちに残り物の危機にあったものも完食。事前の準備に加え料理自体の美味しさもあってスルリと入ってしまったのだった。

 

 

 

 

 

「ご馳走さまでしたー」 

 

 

 

店員さんに挨拶しながら店を出る。この後はどうやら行く人は二次会に行く流れみたいだ。

 

 

 

 

 

 

﹙二次会かーどうしよっかなー﹚

 

 

 

私は料理の余韻に浸る頭を何とか動かして二次会行くか否かを考えるのだった。

 

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