小松島市は大正館Dicafe様で行った『乱歩之回』徳島公演を終えて、早一週間が過ぎました。大木です。
※情緒溢れる素敵な佇まいです。
御来場いただいたお客様。
何かとご協力いただけた皆様。
一緒に良いモノ・面白いモノを作ることに尽力してくれた乱歩メンバーの皆さん。
誰が欠けていてもあの舞台を作り上げることはかないませんでした。
心より感謝を申し上げます。
―――徳島か香川公演のどちらかにコメントを書いたのですが、僕が江戸川乱歩と出会ったのは小学生の頃でした。
推理力だけでなく武道にも秀でた名探偵、明智小五郎。
明智の助手で、少年探偵団のリーダーでもある小林少年(ちなみに名前は芳雄といいます)。
あらゆるものに変装し、血を見ることを嫌う紳士の怪盗、怪人二十面相。
彼らが綴る物語に僕は没頭し、気に入った話は何周もしてしまうほど読み漁っていました。
※・・・こんなのや!
※こんなの!楽しそうだね!
そんな僕の卒業文集で将来なりたいものは「小説家」でした・・・
今はなんでか演出をしています。
中学に入って図書館で出会った乱歩の世界は少し違っていました。
―――いや、かなり。
※・・・あれ?なんか違う
※なんやこれ!?こわ!
表現内容が難しかったり、大人向けな感じで読みにくくも感じていました。
しかし、読むのを不思議と止めようとは思いませんでした。
なんというか、「夜の世界」。
いつしかワクワクしていた乱歩の世界から、なんだろう・・・
僕の田舎は沖縄の、本当に田舎で街灯なんかも本当に殆ど無いようなところでした。信号も無かった。(未だ無いはず)
※登下校時に通った防空壕前。危ないから入るなとよく言われていた。入らんわ!
※映画『ひめゆりの塔』の撮影で沢口靖子さんや後藤久美子さんも来られていましたよ。
そこの地元の盆祭りで、小学生たちは花火を鳴らしまくるのが風習で、
、、、実際はロケット花火や爆竹を使った「花火戦争」だったんですがね。
※僕の得意技は相手陣地に仲間のふりをして潜り込み、束になった爆竹を背後で鳴らすというようなことを
その当時からやっていました。そして爆笑しながら自陣に走って逃げるという(思い出してもニヤツキが止まりません)。
それも終えて、べろんべろんに酔っぱらった親父たちもついでに母たち女性陣が迎えに来るというのが一連の祭りだったのですが、
帰る時間は大抵日を越えておりまして。
そんな時間に街灯なしの中を歩いて帰るんですがね。それが、まあ、キレイな月明かりの下なんです。
隣どころか10ⅿは遅れて歩いてくる親父の顔も見える位明るくて、キレイで、普段は流れ星が見えまくる満点の星たちも消え去るほどの
まぶしい月明かりの下。
※写真はイメージですが、まぎれもなく地元の夜景です。
普段は決して起きていてはいけない時間、しかもそんな夜の中を歩く、そのドキドキとした空気感。一生忘れません。
・・・長く逸れましたが、その夜道を歩くのと乱歩の世界観に既視感があるんですね。
あの言い表せられない夜の空気。
先日閉幕を迎えたアニメ『からくりサーカス』の藤田和日郎先生の作品にも似たようなものを感じていまして。
※パンタローネの嬉しそうなパントマイムにめちゃめちゃ泣けました。最後の笑顔にも。
※次のカットがまた泣けるのですが、ぜひコミックスにてどうぞ。
短編ですが、『夜に散歩しないかね』という作品が特に乱歩の世界に似ています。
興味のある方はご一読を。
※大正浪漫満載のお話。
そんな、
長い長い年月を経て、小説家では無く演出として、
ようやく形にすることが出来た
『乱歩之回』。
・・・うーん、
しかしというか、
むしろやっぱりというか、
江戸川乱歩に魅せられたのですが、少なくとも僕だけでは全く無理でしたね。
「乱歩の世界」に触れることが出来たのは。
お芝居として、自身演出として、その技法や培ってきた経験を持ってして
何とか形にすることが出来たというか。
純然とした、「乱歩」により近かったのは、
同じく脚本、または構成を練りつつ演出を後押し続けてくれた、みなさんこと藤井みなさん。
幕間芝居の『火星の運河』でそれぞれの演目を結び付け、各演目を美しく不気味に一つの作品へと昇華させてくれました。
※白い布を使う演出は彼女の手柄。
※撮影のアンディ君渾身の一枚。みなさん、撮られとるよ。
『お勢登場』の演出は、ほぼおんぶに抱っこ状態だったあずにゃんこと繁中さん。
もっとも「乱歩」と「演劇」とのバランスが高いレベルで備わっていたのが彼女だと思います。
※上の二人は「こう」と思ったら動くのがまあ早い!勉強になりました。
※乱歩の世界から抜け出しておいでなしたんでは?と思わせるあずにゃん。舞台女優として惚れました。
また、与力さんやえみこさん、ゆっきーなが作ってくれてたパンフレットや立て看板、乱歩之回団扇など見ても
「僕より乱歩に近い?」と思わせるような物を作ってくれているように感じました。
※こだ
※わりの
※一品達!
まあ、何が言いたいのかというと、
みんながいてくれたので「乱歩」が出来たんだ、と、
予見通りやったな、と、
そういう話です。
自身の力不足やなくて、
この座組だから出来たんだなと、
嬉しい気持ちでいっぱいなのです。
当然他の強力な役者陣やスタッフの力もあってのことです。
※『百面相役者』から『幕間芝居・火星の運河』
※『一人二役』
※『指』
※『お勢登場』
※おまけ『一人二役』の仁後さん演じるTの堕ちていくいく狂気の表情(お気に入り)。
「お芝居作り続けて良かったな」と、毎公演後に思っておりました。
して、その想いは今尚強くあります。
もっと、もっと。
これからも続けます。ご期待ください。
※次なる野望が三白眼に出え回っている大木。すばらしき皆様と共に。